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<保育留学> 幼児教育先進国ニュージーランドで 保育士として働きながら大学院へ
日本の大学で保育の学士号を取得した谷島直樹さん。大学を卒業後、ニュージーランドの都市、オークランドの保育園で1カ月のインターンシップを体験しました。このとき、子どもが自主的に学ぶことができる環境を作り、その子の個性を伸ばすことに情熱を持っている先生たちの態度にとても感銘したそうです。
その後、7年間日本の保育園で働きながら保育士修士号を取得。再度ニュージーランドへ。オークランドの保育園でフルタイムの保育士として働きながら、大学院で学んでいるそうです。何を学んでいるのか、仕事と大学院との両立は?など、谷島さんに聞いてみました!
世界的に知られるニュージーランドの幼児教育を深く学びたい
―さっそくですが、ニュージーランドで保育を学ぼうと思ったのはなぜですか?
谷島:世界的に評価されているニュージーランドの幼児教育を深く学びたかったからです。
ニュージーランドで保育士として実際に働き、現場のことを知れば知るほど、学術的な面から学び、理解を深めたいと思うようになりました。僕の場合、教員資格を取得していたこと、既に保育士として現地で働いていたことなどから、永住権が取得でき、現地のニュージーランド人と同様、留学生の半額以下の授業料ですんだこと、奨学金がもらえたことなども、大きな理由ですね。
―大学院の入学申込に必要なものは?
谷島:入学に必要な英語力(IELTS Overall 6.5以上)と、勉強を継続できるビザです。英語力は、保育園で働きながら、語学学校のIELTSコースで集中して勉強しました。それでもバンドスコア7.0を獲得するのに2年半かかりました。
―大学院では何を学んでいるのですか?
谷島:Postgraduate certificate in education というコースで、「Educational Futures 」という科目を学んでいます。現代社会は、今まで人類が経験したことのないスピードで変化をしているにも関わらず、教育の現場はあまり変わっていません。そのギャップを知り、未来の教育をこれからどうデザインしていけばいいかを考えるのが、この教科の大きなテーマの一つです。
働きながらなので、3年かけてMaster of Education(修士号)取得を目指しています。
オンラインで学べるコースを選択
―大学院と仕事の両立は大変では?
谷島:オンラインで学べるコースがあると聞いて探しました。
僕が現在受けているのはBlended courseと呼ばれるもので、オンラインの授業がメインで、1セメスター(1学期)のうち4日間だけ大学に行けばいいんです。だから、何とか両立できています。一緒に勉強している人は、高校、中学、小学校、そして僕のフィールドであるEarly childhood centre (ECE)の先生たち。校長先生、主任クラスの方も来ています。
スクーリングの日には、国外や遠方から飛行機や高速バスで来ている人も多いです。
挫折しないコツは、時間と場所の使い方と、人に聞くこと
―オンラインで授業が受けられるのはいいですね。でも、意志が強くないと難しそう…。授業はどんな風に進められるのですか? 挫折しないコツってありますか?
谷島:大学院のWEBサイトに出される課題をこなします。課題は、指定された論文を読んで、Reflectionと呼ばれる感想、総括等を書くこと。課題の論文は、専門用語が多くて、辞書なしでは太刀打ちできませんでしたが、5週目くらいでだいぶスラスラ読めるようになりました。
セメスターの前半・後半に各2回あるスクーリングでは、対面の授業、事前に出された課題についてディスカッションやグループワークをします。
セメスターの前半は週に5時間~7時間、最終課題直前は毎日3時間程勉強しました。
僕は、仕事が終わり自宅に帰るとリラックスモードにはいってしまうので、なるべく朝に勉強するように心がけました。保育園で働いているので、遅番の日は9時出勤、そのため7時くらいに職場近くのカフェに行き勉強、また早番の日は4時前に仕事が終わるので、自宅近くの図書館に行って勉強。自宅で心置きなくリラックスしたかったので、この短い時間に集中して勉強できたのではないかと思います。
挫折しなかったのは、遠慮しないで周りの人に助けを求めたからかも知れません。
幸運にも、同じクラスで働いている2人の先生が大学院出身だったので、課題の書き方、英語のチェック等を快く手伝ってくれました。英語が第二外国語だからということを理解してくれたので、本当に助かりました。もし、英語ができない自分を恥じて助けを求めなかったらもっと苦労していたでしょうね。
未来の子どもをどう育てるべきかはとても興味ある課題
―大学院で学んでよかったと思うことは?
谷島:視野が大きく広がったことですね。以前は職場の保育園の先生方としか交流がありませんでしたが、大学院では、高校や中学、小学校の先生とも話すことができ、ニュージーランドの教育が持つ強み、課題などを教師の視点から学ぶことができました。
また、課目のEducational Futureは未来教育を考えるもの。教師として、予測できない未来に向けて子どもをどのように教育、援助をするかを考えるのはとても興味深いですし、教師として必要な知識、視点だと感じでいます。未来教育を学ぶことができてよかった!
―本当にこの分野が好きなんですね! だからこそ挫折せずに勉強を続けられたのかもしれませんね。この経験を今後どう活かそうと思っていますか?
谷島:今働いている保育園でこの知識を活かしたいのはもちろんですが、将来日本の教育現場にも活かしていきたいですね。
ニュージーランドの幼児教育は世界的にも評価されていて、未来教育を学べば学ぶほど、この国の幼児教育は未来を見据えた教育としてデザインされているのに気がつきます。
日本の良いところを残しながら、ニュージーランドの教育も取り入れることができるように、学びを深め実践を続けていきたいと思います。
ビーバー教授の解説
ニュージーランドで、教育学修士(Master of Education)を取得するには、240 Creditsまたは180Credits(コースにより異なる)が必要じゃ。
一般的に、フルタイムの学生なら1セメスターで2教科(合計60Credits)を取得し、2年間でMaster of Educationを取得できる。谷島さんのように働きながら、1セメスターで1教科(30Credits)ずつ勉強して3年、4年かけて修了する人もいるんじゃ。オンラインのコースなら、働きながら学びたい人にはよりチャンスが広がるぞ。
谷島さんが感銘を受けたというニュージーランドの幼児教育は、テファリキ(Te Whariki)と呼ばれる教育方針で、「子どもが自ら学ぶ心を育む」ことが基本方針。子どもの個性や興味を豊かにする教育法として、世界各国の教育者が注目しているんじゃ。
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